株式を贈与する場合の注意点

株式会社の場合は、株式の贈与に対する効力要件を確認してください。

株券発行会社と株券不発行会社では要件が異なります。

株券発行会社とは、株主に株券を交付している会社のことです。
会社法改正前(2004年「H16年」)は、定款に記載がなければ、原則は株券発行会社でした。
現在までに定款にて、「株式不発行会社」の変更がなければ、株券発行会社のままです。
その場合、株券の所持が対抗要件になります。(株式会社に対して株主と主張できません。)

(株券発行会社の株式の譲渡)

第128条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

(株式の譲渡の対抗要件)

第130条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。

2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。

株券発行会社だった場合、当事者間で株券の譲渡が成立していたとしても、株券を引き渡ししなければ、株式会社に対して、自分が株主と主張することができない可能性が高くなります。

特に、生前贈与契約で株式の移転をしていたにも関わず、株券を引き渡さなかったことにより、株式会社に移転が認められないという事態にもなりかねません。
そうなれば、スムーズな事業継承にも支障をきたす恐れが生じてしまいます。

現在、生前贈与中の方や計画予定の方はお気をつけてください。