遺言(ゆいごん)と遺言(いごん)は明確な違いがあります。

テレビでは、言葉の印象的に「ゆいごん」という表現が使用されています。
私も説明するときは、「ゆいごん」を使用しています。

しかし、法律用語では、「いごん」になります。
意識はしている方は、相続業務に関わる人のみだと思います。

法律上の世界では、「ゆいごんしょ」とは法的拘束力がありません。
例えるなら、エンディングノートのようなものです。
自分の死後の想いや願いを相続人に伝達する手紙であって、「ゆいごんしょ」の内容通りに
相続を実現する義務はありません。

しかし、「いごん」の場合は、違います。
いごん」とは、民法に厳格に形式が定められています。
形式にそっていないものは、「いごんしょ」と認められません。
故に「いごんしょ」の無効が裁判で争われています。
いごんしょ」が有効な場合は、相続人全員が「いごんしょ」と異なることを同意した場合のみ
遺言書と異なる処理が可能になります。
それほど、「いごんしょ」は強力な効果があります。

自筆証書遺言公正証書遺言
保管場所任意の場所法務局公証役場
メリット・費用がかからない・費用が少ない(法務局への手数料のみ)
・法務局職員による簡易なチェックが行われる。
検認が必要ない
・公証人が遺言書を作成するため、無効になることは少ない
検認が必要ない
デメリット・形式に沿っていない場合、無効になる。
・遺言書の存在が明らかにならないまま、相続手続きが終わることもある。
・家庭裁判所で遺言を開ける作業(検認)が必要である。
 (保管場所が法務局の場合は除く)
・費用が高い
 (相続人の人数や相続財産の価格によって)

検認とは、家庭裁判所で「遺言書」を開封する作業のことです。
家庭裁判所以外で「遺言書」を開封しますと、開封者に対して、過料5万円が課される可能性があります。しかし、「遺言書」自体が無効になることはありません。

遺言書とは経路が異なりますが、エンディングノートを残すこともお勧めします。
遺言書に記載がある項目は、原則として財産に関する内容が義務の対象です

財産の詳細や連絡者リスト、葬儀の参加者リストなどを相続人に知らせすることも可能です。
その他、現在契約している内容(生活インフラやサブスクなど)やパソコン/スマホなどのデジタル情報の処分方法(全削除や承継)も伝えることができます。

スマホは、家族との思い出や相続財産になると思います。
特に、ネット銀行やネット証券などを所持している場合、スマホのロックを解除できなければ相続財産として判明することが難しくなります。
また、家族に見せたくない内容は、「秘密」や「日記」、「禁止」などの文言は、見たくなる魔力を秘めていますので、無難な名前にしておくことをお勧めします。

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